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 草葺とも総称される稲科植物[茅(萱)・オギ・ススキ (大茅)・カリヤス(小茅)]の植物の茎を素材とした伝統的な屋根は、南北に長い日本列島の各地において気候風土や地理的条件に根差した個性的な屋根形態を形作ってきました。岩手県南部地方の曲屋、秋田・新潟の北陸地方の中門造、岐阜県白川郷の合掌造、山梨県のかぶと造、島根県出雲平野のそり棟、有明湾のくど造、そして棟飾りや棟じまいに地方の個性を表出しています。
 また、茅葺屋根は、北欧やオランダ、イギリスの民家など、世界各地に分布し、個性豊かな景観を見せています。 茅葺の方法は、茅の根本を下に向けて葺く「真葺」と、穂先を下にして葺く「逆葺」があります。日本の茅葺屋根は真葺が一般的です。逆葺は作業が容易で、薄く葺いても雨仕舞いは良いのですが、耐久性が悪く、限られた建物にしか用いられていません。 屋根葺き作業では、まず最初に茅ぞろえをします。材質の良否や長短を考えながら、軒用、棟用、隅用と選別し、使い易いように切断、結束します。そして、軒の厚みをつける軒付け、屋根で一番重要な水切り、屋根の形を作る平葺、平葺の終わりの個所から雨漏れを防ぐ棟仕舞いと、下から上に積み上げていきます。 平葺は長いまま使用する長茅と、適当な長さに切断する切茅を使います。まず隅尾(稜線)の部分を葺き、厚み、勾配を決め、これを基準に平面を葺きます。固定方法は、茅を五十センチ前後の厚みに敷き並べ、長い竹(押し鉾竹、押え竹)を横に置き、屋根野地の垂木又はえつり竹に縄で結んで挟み込みます。縄の結び方は、「とっくり結び」といい、巻結びに似たものです。これを繰り返して棟まで積み上げます。

日本の茅葺は「真葺」が一般的

熟練の技法を駆使して
   棟仕舞いは民家の顔に

 棟仕舞いは、一番目立つ個所です。地域の自然環境を考え、職人独自の熟練した技法を駆使し、形状を作り装飾化されます。軒付け同様、地方色が表れ、民家の顔となっています。

棟仕舞いは次の六つに分類されます。
【置き千木】
×(ばってん)型の木材が棟に馬乗り、棟茅を押さえる役目をしています。
【芝棟】てっペんに土を乗せてやります。やがて、草が生え夏には緑色の棟になります。その重みで棟茅を押さえます。
【瓦巻き】瓦を乗せて棟茅を押さえています。
【コウガイ棟】コウガイは日本髪に使う簪(かんざし)のようなものです。
【針目覆い】棟茅を竹で押さえ、竹を下地に縄で縫い付けています。縫い目から雨が漏る恐れがあるので針目に覆いをかけています。
【竹す(たけす)巻き】簀(す)の子に編んだ竹で押さえます。

 最後に仕上げは鋏を使って、葺く時とは逆に上から下へとかり揃え、屋根全体の形状を整えます。一部地方では、鋏を使わないで叩いて揃えるところもあります。

【置き千木】
【芝棟】
【瓦巻き】
【コウガイ棟】
【針目覆い】
【竹す巻き】